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【 Regina Spektor / Begin To Hope (2006) 】

Regina Spektorの歌声は、Tori Amosの狂気やFiona Appleの陰鬱さのようなものを容易に感じさせてくれるが、一方で、溌剌とした"陽"の感性をも鮮やかに映し出す。言ってみれば、その絶妙なバランス感覚こそが彼女のスペシャリティなのかもしれない。ロシアに生まれ、幼少時に渡米、Bronxで育ったReginaは、今や同業者からのリスペクトも厚い、独特の感性を持ったピアノガール。Strokesのシングル"Reptilia"(from 「Room On Fire」)に収録の"Modern Girls and Old Fashioned Men"にデュエット参加してたことでも知られる(実際、ヴォーカルのJulianとは公私に渡る関係を持っていたとのこと)。

彼女の書くリリックは美しい。天才的なまでの文学性でもって描き出される情景は、時に内省的な印象も受けるが、そのほとんどは彼女のイマジネーションの産物だそうだ。インパーソナル/フィクションへの拘りは、彼女が他のSSWと一線を画す部分でもあり、実際に今作でも古典文学からの引用を効果的に挿入するなどの技巧も凝らされている。
一編の詩を朗読するかのように、淡々とピアノリフに乗せて紡ぎながら展開させていくのが基本スタイルであり、それは冒頭の"Fidelity"で明確に示される。他の弾き語りシンガー同様、彼女もピアノに己の感情を激しく衝突させることで表現することもあるが、あくまで彼女は「語り部」というスタンスを貫いているようで、全てをピアノに委ねることは決してない、しかし(例によって)古典音楽のバックグラウンドを持つ彼女は自在にそれを操り、自らの語りをよりドラマチックに仕上げていく。それは歌劇のように、映画音楽のように。

"Samson"は、今作でも出色の完成度を誇る至高のラブソングである。「You're my sweetest downfall...」という歌い出しの一節からガッチリと聴く者の耳を捕らえるが、Samsonと"私"の髪に関する描写は、非常に純文学的で、まるで極上の短編を味わっているような気分にさせてくれる。自分は完全に彼女のナレーションに魅了されてしまった。同じ理由で、"On The Radio"は今年、何度も何度も、繰り返し聴いた一曲だ。

実際、頭抜けた表現力を持ち合わせている故に、アーティスティックな側面ばかりが取り沙汰されがちだが、もちろん、ポップミュージックとしての土台もきっちりと作り上げられている。"Better"は一聴して分かるが、前述のStrokes関連でNickがギターで参加しており、その通りにStrokes流ポップネス全開の人気高いナンバーだし、"Edit"や"Hotel Song"は、ややリズミック系にも接近した音作りが成されており、遊び心に溢れている。

さすがに、今年最も話題を呼んだSSWの一人だけあって、一筋縄ではいかない作品だが、触れてしまえば全然難解でもなんでもない、いつも近くに置いておきたいお気に入りの本のように愛着の湧く、暖かいアルバムだと思う。個人的にも今年のベストには必ず入れたい作品。凍えるこの季節に、クリスマスのお供に是非どうぞ(メリークリスマス)。
| Today's Disc (Pops / Rock) | comments(0) | posted by tippee |
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